[58] 更科源蔵さんの詩(2)


良いお天気ですね。そんな中、昨日、「北斎」の絵を見に、神戸市立博物館に行きました。有名な冨嶽三十六景の版画も見られてよかったです。でも、版画なので思っていたよりサイズが小さいと感じました。最近はテレビの画面が大きいので、実物より拡大して見ていたことを再確認しました。そして今日、日曜美術館(NHK)で北斎漫画と取り上げていて、生物や人物の動きの瞬間をとらえたスケッチ(筆でなのでしょうね)を改めて、じっくりと味わうことができました。

さて、更科源蔵さんの詩(2)、「コタン詩集」から、
「怒るオホーツク」です。

暗澹たる空の叫びか
滅亡の民の悲しい喚声の余韻(@本当は古い漢字)か
オホーツクの風
世界の果の巨鳥は今も尚羽ばたくのだ
民族とは何だ 種族とはと

海は風にのみグウーンと怒るのか
逆立つ牙は恥づべき不徳の足跡を削らうとするのか
非道の歴史を洗ひ去らふとするのか
オホーツクの海
石器は滅び骨は朽ち
興亡の丘に蝦夷百合は乱れる

暴風雨(あらし)は遠い軍談(サゴロベ)を語り
敗北の酋長(オツテナ)が眠る森蔭の砦(チャシ)に
穴居の恋を傳へて咲く浜薔薇(はまなす)は赤く
濡れた海鳥の歌ふのは何の挽歌だ
オホーツクは怒る

<では>

[テノール高木です (2014/05/04 Sun 13:19) ]